ナーシングホーム西野

ふるさとの海

しあわせ西野看護師島田です。

 先月、91歳のお誕生日を迎えられた利用者を訪問した時の事です。

 いつも故郷の数多くの魚介類を育む豊かな海の情景と海からとれる栄養豊富な海産物を誇らしげに話してくれます。
「月の光に照らされてね、小さなカニが海からヒョッコヒョッコ浜辺に上がってくるんです。それを人間さまが狙うんですよ。アッハッハ。そのカニをまるい網で掬って茹でて食べるんです。
家には、東北から出稼ぎに来ていた人達が20人ほどおりましたから、皆さんとても器用でした。
子供でもカニがとれるようにと掬う網をワッカで上手に作ってくれました」と。
 
 また、亡くなられたご自身の兄の事も話題になりました。
 「兄は、将校だったんですけど、マラリアにかかって戦争から帰ってきました。高熱で身体がピョンピョン震えるたびに小学生の私が馬乗りになって抑えたんです。その震えは、とてもひどく本当に兄がかわいそうでした。
戦争は、人間の欲というより国の欲だと思います。」
 利用者様のこの言葉は、短い言葉ですがとても印象的で重みがあるものです。

 居室に飾られているご家族の写真も利用者様に優しく微笑みかけているようです。
どんなことがあっても自分を大切に思ってくれている家族と故郷の深い山々の森から海への景色の思い出が心の糧になっていることにあらためて強く感じさせられました。


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