ナーシングホーム西野

想い出

 子供の頃の記憶の中の出来事や体験は、大人になってもずっと心の中に残っている。
いつか大人になり様々な岐路に立った時、その経験に励まされたり勇気をもらったりすることがある。

 先日、グループホームで一人の利用者様に子供の頃の得意不得意だった事について伺ってみると、
「私は、走るのが遅かったから運動会はとっても嫌だったわ。」
「小学校の運動会のかけっこは、いつもビリだったし、勉強も大したことがなくて…。」

「私もそうでしたよ。自慢ではないけれど運動会の徒競走ではいつも最下位を争っていましたから。
この運動神経の悪さです。もしもアフリカの草原なんかにいたら私なんか真っ先にライオンの標的にされたわ。人間社会に生まれて本当に良かったわ。弱くても小さくてもともに助け合っていますものね。」
「動物の世界では、少しでも身体能力が劣っていたら生き残る事が難しいですよね。まさに弱肉強食だから振り落とされてしまう。」

 また、子供の頃に住んでいた街については、
「私は、岩見沢の炭鉱で育ったんですけど、とても貧しくてその日暮らしがやっとという生活でした。でも食べる事には不自由がなくて困る事はありませんでした。
私の周りでは、食べ物にも事欠くような家もありましたから…。
その事は、とても有り難く思っているの。炭鉱のお陰で生活の基本が出来ましたものね。炭鉱では、いろんな事がありましたけれど、今こうして振り返ってみるとその頃の事がとても懐かしく思い出されます。」

「炭鉱では、大人も子供も隣近所の人逹は皆家族でしたよ。お互いに手伝って生活が出来た事が良かったのかもしれませんね。」

 楽しかりし記憶が蘇ってくると、生き生きとした喜びに溢れた時間を過ごす事が出来る。
昔話は、年を重ねた人間にとっては心の豊かさや元気の源となっているようである。
 高齢となり気力や体力がすっかり萎えてしまった今、過ぎこしかたを思い返すのもよし。
周囲の人に気配りができる優しい人だから、これからの日々も心穏やかに過ごせますように。
毎日の生活の中で一人静かにゆったりとした時間を過ごし、心身ともに健康な生活を楽しみましょう。
               2022.1.西野看護 島田記

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