ナーシングホーム西野

ある日の午後、僅かに開いているドアから大きな声が聞こえてきた。まるで誰かと話をしているようにはっきりした口調である。
「あぁ、お姉ちゃん、アハハァ!」と目を閉じているのに同じ言葉を愉快そうに繰り返す。声をかけるとパッと目を開いた。
「わかんなぁい…。」というあやふやな感じは、どうも楽しい夢を見ていたようだった。深い皺が刻まれた顔をさらにくしゃくしゃにして語っている。
その姿を見てはっと胸を突かれた。当然ながらこの利用者様にも家族とともに過ごされた若かりし頃があったのだ。
年月とともに数限りない出来事があり、昔の元気な頃に戻っていたのだろうか。
と、思いを馳せる。
介護現場では、縦断的に利用者様と接することができる。
目前にある姿がその人のすべてではない事を心に留め置かねば。

社会は、すべての団塊の世代が後期高齢者となる2025年を目途とした「地域包括ケアシステムの構築」が近年推進されている。
この流れのなか、あと10年でこれまでの病院完結型の医療体制から、地域完結型の医療介護体制へと大転換が図られることは必須である。在宅看護および介護・在宅医療への期待は、ますます高まり果たす役割は大きい。
2021.11 しあわせ西野 看護師 島田

夢 はコメントを受け付けていません