ナーシングホーム西野

おかあさん

しあわせ西野看護師島田です。
 冷たい風が吹きすさぶ日の昼下がり、ある利用者様のご家族が施設に面会にお見えになりました。

「お母さ~ん、お母さ~ん、元気―っ!」と、娘さんがガラス越しの高齢の母に聞こえるように大きな声で呼びかけていました。玄関先の冷たい床をも厭わず、車椅子の母の目線に合わせて両膝をつき声をかけていました。

 最近お母さんは、体力が衰えて十分な経口摂取が難しくなり、体重も減少しほとんど寝たきりの状態でした。
しかし、慣れ親しんだ我が家の味や施設の食事との併用、毎日のリハビリや日常生活の実践などで徐々に体調が改善し、安定した姿勢で食事ができるようになりました。
 食堂では、他の利用者様との交流や音楽に耳を傾ける時間が増え始めました。これらの事がくつろぎや癒しとなり、元気が出てきてこちらの問いにも返答してくれるようになってきました。

 お母さんの体力が回復してきたのは、科学や医学のお陰だけではなく、ご本人の持てる力とご家族との絆、周囲との人間関係など不思議な要因があったからではないかと思います。

 お母さんは、娘さんのお顔を見て優しく微笑んでいます。
お母さんの声が、思いがガラス越しの娘さんに届いたならばどんなに勇気付けられたことでしょう。
 母の言葉は、心の中で生き続けるものと思います。
 利用者様にとって大切な人とかけがえのない時間を大切に過ごされますよう心から願っております。

赤いスイートピーとチューリップ
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