ナーシングホーム西野

南樺太に

西野看護師 島田です。
 幼い頃、南樺太で暮らしたという利用者様が、この度の激しい戦争やウクライナの避難民をめぐるニュースが、かっての自分達の姿と重なり不安を感じているのではないかとふと心中を想像した。

 ところが予想に反してロシアの子供たちとの交流は隣人愛に溢れたものであり、不快な印象など少しも持っていなかったのである。

 「こんにちは、お元気ですか、ありがとうって片言のロシア語と日本語で話してね。ロシアの友達の家にも招かれてねぇ。ボルシチはとっても美味しかったよ。」

「一度でいいから南樺太に行ってみたい」と。子供の頃に出会ったロシアの友達に会える日を夢見ている。利用者様には、年月とともに数限りない出来事があり、ただ楽しかった子供時代の夢の内容を忘れないように誰かに聞いてほしいようだ。

 さて気候は晴天の日が多くなり、木々が芽吹き、花が咲き自然は表情を変え鳥のさえずる音が聞こえだした。小さく咲く花に心奪われるのは生きとし生けるもの同士だからこそだろうか。

南樺太に はコメントを受け付けていません